操作ガイド v0.9.0

トゥーンレンダリング用の顔影スレッショルドマップを作成

角度別の白黒マスクをペイントし、SDF距離補間を使って、光の向きに応じた影の切替値を1枚の16-bit RGBAテクスチャにまとめます。このページでは、Quick SDF Paintのインストール、編集、確認、書き出しの手順を説明します。

作成の流れ
  1. 角度別の白黒マスク
  2. SDF距離補間
  3. 16-bit RGBAスレッショルドマップ

基本操作

Light/Shadow
Lightは白、Shadowは黒を塗ります。
0% → 100%
物理角度ではなく制作進行度です。0%のLight Startsから、真横光のSide Light 90°を通り、100%のFull Lightへ明るい部分が広がります。
1回のペイント
選択中のキーへ反映され、0.5境界を越えた画素はLightなら100%側、Shadowなら0%側へ反映されます。
書き出し
9枚のつながりは自動で整えられます。塗った画像そのものは変更されません。

仕組みから理解する

顔影スレッショルドマップの全体像、SDF距離補間の比較実験、Blenderで影を直す判断基準を3本の記事にまとめました。

解説記事を読む

インストール

ダウンロードしたZIPは展開せず、そのままBlenderへインストールします。

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    GitHub ReleasesからWindows x64版のZIPをダウンロードします。

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    Blenderで 編集 → プリファレンス → エクステンションを入手 を開きます。

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    右上のメニューから ディスクからインストール を選びます。

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    ZIPを選択します。インストール後、3DビューでNキーを押すとQuick SDFタブが表示されます。

操作手順

顔メッシュを選択し、角度キーごとのマスクを修正して、テクスチャを書き出します。

STEP 1

Face Areaを決め、Quick SDF Paintを開く

Object Modeで顔を含むメッシュを選択します。顔専用のSurfaceがあるモデルはCreate & Editだけで開始できます。顔と身体が同じMaterial/連続したトポロジーに含まれる場合は、Select Face Area…を押し、Edit Modeで顔のPolygonを選択してCreate & Edit Selected Facesを押します。

  1. 顔を含むメッシュをアクティブにする
  2. 3DビューでNキー → Quick SDFを開く
  3. 専用SurfaceならCreate & Editを押す
  4. 身体と共有する場合はSelect Face Area…で顔Polygonを選ぶ

選択したFace Areaから、現在のポーズと法線に基づく9枚の影ガイドが作られ、真横方向から直接ベイクした中央50%のSide Light 90°キーを選んだ状態で専用作業画面が開きます。Quick SDF PaintはObject名、Material名、面積から顔を推測しません。まずはResolution 1024、Initialize: Light Sweepのままで構いません。既存の作業を続けるときはOpen Quick SDF Paintを押します。左右のUVを自動判定できない場合だけ、作業画面を開く前に3つの候補から見た目の合うものを選びます。

顔のメッシュとFace Areaを確認し、Create & Editを押すQuick SDFパネル
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    顔影を適用するFace Areaを確認

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    Create & Editで9枚の下描きを作成

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    解像度や初期化方法は、必要な場合だけ変更

STEP 2

作業画面を確認する

専用作業画面は、左の2Dキャンバス、右の3Dビュー、下のライトスイープで構成されています。2Dキャンバスと3Dビューは同じ影マスクを編集します。

左に2Dキャンバス、右にKipfelの3Dビュー、下にライトスイープがあるQuick SDF Paint
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    2Dキャンバス:白黒マスクの細部を修正

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    3Dビュー:顔に出る影を確認しながら修正

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    Light/Shadow:次のストロークで塗る値を選択

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    Export Threshold Map:完成したスレッショルドマップを書き出す

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    ライトスイープ:9枚の下描きを選び、影の変化を確認

主な操作は、Light、Shadow、ライトスイープ、Export Threshold Mapです。

STEP 3

影ガイドを修正する

白に変更する部分にはLight、黒に変更する部分にはShadowを選択してペイントします。

Kipfelの影ガイドをLightまたはShadowで修正している画面
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    2Dキャンバス上の白黒マスクを直接修正

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    同じ修正を3DのPaint Overlayで確認

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    青枠で現在編集しているキーを確認

Light
白にする
Shadow
黒にする
2Dキャンバス
細かな輪郭や3Dで届きにくい場所を修正する
3Dビュー
顔への見え方を確認しながら修正する

Mirror Onが有効な場合、一方の側への変更は設定されたミラー方式で反対側へ反映されます。ブラシサイズ、強さ、筆圧、UndoはBlender標準のまま使えます。3D上の暖色と寒色は確認用の表示で、書き出すテクスチャには入りません。

STEP 4

影の移り変わりを確認する

画面下のサムネイルが編集可能な角度キーです。サムネイルをクリックすると、そのキーが編集対象になります。プレイヘッドをドラッグすると、キーの間を含む影の変化を連続して確認できます。

  1. プレイヘッドを左右へドラッグする
  2. 2Dと3Dで、明るい部分が広がる様子を確認する
  3. 編集する位置でマウスを離す
  4. Step 3と同じ方法で修正する

初期キーは0、12.5、25、37.5、50、62.5、75、87.5、100%の9つです。中央50%は目印ではなく、真横方向から直接ベイクしたSide Light 90°の編集キーです。既存キー付近ではそのキーへ吸着し、それ以外では一時Canvasが表示されます。画素が0.5境界を越えて書き出し結果が変わった時だけCustomキーへ確定し、スクラブ、同色の一筆、境界を越えない低Strengthの修正だけではデータは増えません。

プレイヘッドをLight StartsからFull Lightへ動かすと、2Dマスクと3Dの顔影が変化するQuick SDF Paintの画面プレイヘッドを動かしてライトスイープによる顔影の変化を確認するQuick SDF Paint
0% → 100%
物理的なライト角度ではありません。0%はLight Starts、50%はSide Light 90°、100%はFull Lightです。真横光でも明暗の面積が半分になるとは限りません。
サムネイル/プレイヘッド
サムネイルは編集可能な角度キー、プレイヘッドはキーの選択と角度間の確認に使用します。
プレイヘッドのドラッグ中と、最も近い制作キーを選んだあとの比較
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    ドラッグ中:キーの間を含めて影の変化を確認

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    マウスを離したあと:既存キーまたは角度間の一時Canvasを編集

STEP 5

スレッショルドマップを書き出す

修正が終わったら、画面上部のExport Threshold Mapを押します。必要な確認と調整はQuick SDF Paintが自動で行い、16-bit RGBAスレッショルドマップを1枚書き出します。

  1. Export Threshold Mapを押す
  2. 初回だけ保存先を選ぶ
  3. Exportedと表示されたら完了
  4. 次回からは同じ保存先を使用し、上書き時だけ確認する

キー同士のつながりに矛盾があっても、書き出し用のデータだけが自動で整えられます。作業画面で塗った画像は変わりません。『角度のつながりを自動調整して書き出しました』と表示された場合も、書き出しは正常に完了しています。

Export Threshold Mapと、書き出し完了メッセージを表示した画面
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    書き出される16-bit PNG

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    Export Threshold Mapで書き出しを開始

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    完了メッセージを確認

Quick SDF Paintから書き出したlilToon/liltoonUE対応の16-bit RGBA顔影スレッショルドマップ

書き出されるファイル

完成するのは、光の向きに応じた影の切替値を格納した16-bit RGBA PNGが1枚です。既定ではR/Gに左右の切替角、Bに通常法線へ戻す領域、Aに影強度を格納し、lilToon/liltoonUEで利用できます。UnityやUnreal Engineへ読み込むときはsRGBを無効にし、色ではなくデータとして扱います。

出力テクスチャの仕様を見る
形式
16-bit RGBA PNG、1枚
R
キャラクターの右側から光が当たるとき、Lightへ変わるタイミング
G
キャラクターの左側から光が当たるとき、Lightへ変わるタイミング
B
SDF Area:通常法線へ戻す領域
A
Shadow Strength:影の強度
R/Gの値
大きいほど早い段階でLightへ切り替わります。0は最後までShadow、65535は最初からLightです。

影ガイドとミラーの設定

Advancedには、正面方向、Shadow Amount、再ベイク、角度キー、ミラー方式、復旧の設定があります。

影ガイド、ミラー、角度、復旧設定をまとめたAdvancedパネル
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    顔の正面方向を設定

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    影ガイドの量を調整

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    ミラー方式と編集する側を変更

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    角度キーの追加、複製、移動、削除、再ベイク

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    書き出し時の自動調整確認とマテリアル復元

ライトスイープの向きを直したい
正面からモデルを見てUse This View as Front
下描きの影を増減したい
Shadow Amountを変更して影ガイドを更新
ポーズやメッシュ変更を反映したい
Rebake Base
編集するキーを増やしたい
Add Angle…
左右を別々に描きたい
Break Mirror
特殊な左右UVへ合わせたい
MirrorのLayoutとPaint Sideを変更
出力チャンネルを変更したい
Output Packingで割り当てと反転を変更
角度に依存しない領域や強度を編集したい
Additional Masksでマスクを選択

影ガイドを更新または再ベイクしても、手描きした部分は保持されます。

困ったとき

症状に近い項目を開いて、最初の対処から順に確認してください。

Create & Editが表示されない

Object Modeで編集可能なメッシュをアクティブにし、0–1 UVマップを用意します。Edit ModeでFace Areaを選択中ならCreate & Edit Selected Facesを使用します。

3Dビューで塗れない

モデルから少し離れるか、Numpad 5で平行投影へ切り替えます。2Dキャンバスなら表示距離に関係なく同じ場所を編集できます。

ペイントしても変化が見えない

すでに同じ色になっている可能性があります。LightとShadowを切り替えて確認します。専用作業画面でQuick SDF Paintツールが選ばれていることも確認してください。

2Dでは変わるが3Dでは見えない

モデルを回転し、塗った面が視点の反対側にないか確認します。表示方法がPaint Overlayになっていることも確認してください。

顔以外にもペイントされる

Project作成前にSelect Face Area…を押し、Edit Modeで顔のPolygonだけを選択します。Face Areaと身体が同じUV座標を共有する場合はUVを分けてください。

ライトスイープの向きが逆

モデルを正面から見て、AdvancedのUse This View as Frontを押します。

書き出しが完了しない

画像やUVが失われていないか、保存先へ書き込めるか、ディスク容量が足りているか確認します。原因を直したあとRetry Exportを押します。

元のマテリアルに戻らない

Advanced → Review / Recovery → Restore Materialsを押します。

参考情報

対応範囲、ソースコード、不具合報告はこちらです。

  • 単一オブジェクト
  • 単一Face Area
  • 単一0–1 UV
  • Windows x64
  • Blender 5.1/5.2 LTS